労働基準監督署に申告をする
労働基準監督署は労働基準法に定められた監督行政機関であり、労働条件と労働者の保護に関する監督を行う機関です。
労災保険に関する相談のほか、賃金や労働問題などの法令違反について、勤務先の所在地の管轄である労働基準監督署に申告をすることで、使用者に残業代の請求をすることも可能となっています。
労働基準監督署に依頼した場合の流れ

労働基準監督署に依頼する場合の注意点
時間を必要とすることがある
労働基準監督署は中立的な立場の機関ですので、使用者が労働基準法違反であるということを労働者側がある程度明らかにしてからでなければ、解決するための行動を起こすことが出来ません。
また、労働基準監督署への申告件数は多いため(東京労働局における平成23年賃金不払事実(申告事件)の概要参照)解決までに多大な時間を要する可能性が高いです。
残業代の回収に対する強制力がない
労働基準監督署は強制的な調査権限や勧告などはありますが、使用者側が労働基準監督署の指導や勧告に従わない場合は、裁判によって解決することが必要となります。
以上の点を考慮してみても、残業代請求の依頼は弁護士にされることをお勧めします。
平成23年賃金不払事実(申告事件)の処理状況
以下は「厚生労働省 東京労働局発表 平成24年5月11日」より抜粋したものです。
東京労働局における平成23年賃金不払事実(申告事件)の概要
不払い事件 | 3,902件 |
---|---|
対象労働者数 | 6,786人 |
対象不払金額 | 40億834万円 |
内訳
件数 | 対象労働者 | 金額(千円) | |
---|---|---|---|
平成22年繰越分 | 576 | 1,307 | 708,485 |
平成23年新規把握 | 3,902 | 6,786 | 4,008,336 |
平成23年に取り扱ったもの (平成22年繰越分+ 平成23年新規把握)…(a) |
4,478 | 8,093 | 4,716,821 |
平成23年に処理が完結したもの (平成22年取扱分(a)- 平成23年繰越分)…(b) |
4,030 (100%) |
7,022 (100%) |
4,023,011 (100%) |
労働基準監督署の指導により解決…(c) | 1,636 (40.6%) |
3,159 (45.8%) |
1,122,167 (27.9%) |
未払賃金立替払制度の 適用による救済…(d) |
39 (59.8%) |
2,661 (37.9%) |
1,456,958 (36.2%) |
解決・救済の合計 (c)+(d) | 2,031 (50.4%) |
5,820 (82.9%) |
2,579,125 (64.1%) |
※処理状況欄の%は、平成23年完結分(b)を100%とした場合の構成比を示す。