阪急トラベルサポート事件(派遣添乗員の残業代請求) 最高裁判決

2014.03.24

本年(平成26年)1月24日に、「事業場外みなし労働制の適用可否」を争っていた阪急トラベルサポート事件のいわゆる第2事件について(この事件は第3事件まで存在します)、最高裁判所の判決が言い渡されました。
結論は、「海外添乗員の勤務状況の把握が難しいとは言えない」というもので、事業場外みなし労働時間制の適用は認められず、会社が敗訴しました。

こちらの事件ですが、海外旅行の添乗員について労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなす「事業場外みなし労働時間制」を適用するのは不当として、派遣添乗員の女性が未払い残業代などの支払いを求めたものでした。

事業場外みなし労働時間制とは、従業員が会社の外で勤務し、会社側の具体的な指示が及ばず、労働時間の合理的な把握が難しい場合に、所定労働時間などあらかじめ定められた時間を働いたとみなす制度を言います。
今回の裁判で、東京高裁および最高裁は以下の事情から、会社の具体的な指揮監督が及んでおり、事業場外みなし労働制は適用できないと判断しています。

  1. 指示書等により、あらかじめ会社から添乗員に対し旅程管理に関する具体的な業務指示がなされていること
  2. 添乗員はこの指示書に基づいて業務を遂行する義務を負っていること
  3. 携帯電話を所持して常時電源を入れておくよう求められて、問題が発生したときには、会社に報告し、個別の指示を受ける仕組みが整えられていること
  4. 業務後において、添乗日報に遂行した業務内容について、正確かつ詳細に記載して提出し、報告することが義務付けられていること

以上のケースを、営業職に当てはめるとどうでしょうか。営業職であれば外に出てしまうと何をやっているかわからないという理由で、会社が「事業場外みなし労働制」を採用している場合が多くあるのではないかと考えられます。 しかし、会社の予定表に訪問予定のスケジュールを全て登録している、外出中は常に携帯電話を持っていていつでも連絡がとれる状態になっている、帰社後は営業日報を作成し上司に報告している、などの場合は、「事業場外みなし労働制」が適用されない可能性が高く、所定労働時間以上働いている場合は、未払い残業代が発生するかもしれません。

ご自身の働き方や、勤務時間等の会社の管理方法等を、再度確認することをお勧めします。

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