残業代が発生する仕組み
「管理職だから残業代は出ない」と言われることがありますが、次のいずれかの場合には、残業代が発生することがあります。
- 会社内で管理職としての地位にある労働者でも、労働基準法上の「管理監督者」に当てはまらない。
- 労働基準法上の「管理監督者」であるが、深夜時間(22:00~5:00)に働いている。
労働基準法上の「管理監督者」に当てはまるかどうかについて
- 「管理監督者」は労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名だけでなく、その職務内容、責任と権限、勤務形態等の実態によって判断します。
- 企業内で管理職とされていても、次に掲げる判断基準に基づき総合的に判断した結果、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない場合、時間外労働をした際には残業代が発生します。
「管理監督者」の判断基準
- 労働条件の決定その他の労務管理について、重要な職務と権限が与えられている
- 採用や解雇などの人事権を有し、人事評価などがある会社においては、部下の評価に関する業務を行っている。
- 時間外労働や休日出勤などの命令を行うなどの権限を有している。 等
- 労働時間について、厳格な管理を受けていない
- 遅刻や早退などにより減給などの制裁を受けることがない。 等
- 賃金面で、その地位に相応しい待遇がなされている
- 基本給、役職手当等の優遇措置を受けている。 等
※上記に当てはまらないものがあるからといって、直ちに管理監督者として認められるということではありません。
「管理監督者」が深夜時間に勤務することについて
「管理監督者」は労働基準法で定められた労働時間、休憩、休日の制限は受けませんが、深夜労働(22:00~5:00)をした場合には残業代が発生することとなります。
ただし、労働協約、就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めて所定賃金(基本給や管理職手当等)が定められていることが明らかで、かつ深夜労働手当をも含んだような賃金面での処遇設定をしている場合には、深夜業の割増賃金を支払う必要はないとされています。
残業代が請求できるか
ご自身に残業代が発生しているか不明な場合、下記の表を確認して下さい。
上記の<「管理監督者」の判断基準>のいずれにも当てはまらない。 | ||
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給与明細に「深夜残業代」の項目がない または 項目はあるが、「深夜残業代」として支払われている金額が、「管理職手当」(もしくはそれに準ずる項目※)として支払われている金額が残業時間に時給をかけた金額よりも少ない |
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深夜労働(22:00~5:00)をしていない。 |
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残業代の発生はありません | |
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残業代が請求できます! →残業代チェッカーへ |
※「それに準ずる項目」とは… 給与明細上では「管理職手当」ではなく、以下のような違う名称で記載されている場合があります。 ・役付手当 ・職階手当 など 各種手当の扱いは、勤務先の「給与規定」でご確認ください。 |
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時給の計算の仕方 ※概算値の算出
- 月給制の方 = 月給 ÷ 月における所定労働時間数
(月によって異なる場合は1年における1カ月平均で算出) - 週給制の方 = 週給 ÷ 週における所定労働時間数
(週によって異なる場合は4週間における1週平均で算出) - 日給制の方 = 日給 ÷ 一日の所定労働時間
- 時給制の方 = そのまま